職を辞して数十年、貯めたお金を元に老人一人で起業したものだった。膨大な借金を抱え込んだために、一日たりとも休業は許されなかった。当時から作業員はいなかったので、助けを呼んでも誰もこない。老人は、ゴミ底より頭上を見上げた。日が暮れて夕闇が迫り、この時期には珍しく、はっきり澄んだ空には無数の星が顔を出していた。次の晩も、そしてまた次の晩も、夜空でにやつく星どもを恨めしく眺めて過ごした。だだっ広い休耕…
[連載]塵芥仙人
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小説『塵芥仙人』【第11回】瀧 祐二
吐き気を催す臭気、腐敗した食べ物、茶褐色に濁った水…深いゴミ溜めに落ちて4日。老人は生きるため、これらの汚物を飲み込み…
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小説『塵芥仙人』【第10回】瀧 祐二
「お主の寿命の一部、十年をちょうだいするというのではどうかな?」耳を疑うこの突拍子もない提案に、たじろぐしかなかった。
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小説『塵芥仙人』【第9回】瀧 祐二
「実はな、わしは、過去に神通力とやらを授かったんじゃ」異臭を放つゴミの奥から出てきた老人はそう言った...
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小説『塵芥仙人』【第8回】瀧 祐二
肌は赤銅色、頭の麓に銀髪を残し、そこから頂点に掛けて大きく禿げ上がった何とも不気味な老人とは
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小説『塵芥仙人』【第7回】瀧 祐二
たとえ地獄の番人でもすがりつきたい心境の時に失くした腕時計が見つかったという女性社員の話しを耳にしてすぐさま…
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小説『塵芥仙人』【第6回】瀧 祐二
ゴミ仙人に頼むと、2~3日で失くし物が見つかるという話を信じ、会いに行ったところ…
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小説『塵芥仙人』【第5回】瀧 祐二
夫からプレゼントされたロレックスの時計をなくし、困り果てた友人を助けようとして…
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小説『塵芥仙人』【第4回】瀧 祐二
機密情報の持ち出し、漏洩、謝罪会見と悪夢がよぎるなか、雑談が耳に入ってきて…
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小説『塵芥仙人』【第3回】瀧 祐二
大事なUSBメモリを紛失してしまった!機密情報や個人情報等がぎっしり入っていたのに…。
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小説『塵芥仙人』【第2回】瀧 祐二
絶対に早く帰らなければ…今日は妻の誕生日。仕方なく一大事業の企画書を持ち帰り…。
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小説『塵芥仙人』【新連載】瀧 祐二
「塵芥仙人」と呼ばれるゴミ処理場の番人の奇怪な姿と、荒れ果てた畑