【前回の記事を読む】「さっきまで後ろを走っていたのに」妻と対向車、衝突の瞬間は一瞬だった。喪失感から、もうハンドルを握れなくなり…妻のDNA検査を踏まえて、妊娠時のリスクを事前に処置した結果、十月十日(とつきとおか)の妊娠期間を経て出産できた。名前は、シミュレーションの中で妻が選んだ『心春』にした。心春は紛れもなく、妻と俺の遺伝子を継いだ娘だということもわかった。震災を避けるため、出産後は妻を実…
[連載]さまよう記憶の行方
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小説『さまよう記憶の行方』【最終回】夢崎 秀弥
妻と幼い娘がいる私に、「あなたはずっと独身ですよ」と看護師。手鏡を覗くと、そこには80をゆうに超えた老人の顔が――。
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小説『さまよう記憶の行方』【第9回】夢崎 秀弥
「さっきまで後ろを走っていたのに」妻と対向車、衝突の瞬間は一瞬だった。喪失感から、もうハンドルを握れなくなり…
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小説『さまよう記憶の行方』【第8回】夢崎 秀弥
「誰それ?赤ちゃんの名前のつもり?」…様子のおかしい夫が帰ってきて、「心春も無事なのか?」とまだお腹にいる子の名前を呼んだ。
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小説『さまよう記憶の行方』【第7回】夢崎 秀弥
出産から5日後、震度7の地震が妻と娘のいる病院を襲った。娘が保育器で眠る3階は、上下のフロアに押し潰されたという。
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小説『さまよう記憶の行方』【第6回】夢崎 秀弥
数回の検査の結果「無事、着床しました」。そこは「妊娠おめでとうございます」と言って欲しかった…
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小説『さまよう記憶の行方』【第5回】夢崎 秀弥
「遅れたくない」と後ろで焦っていた妻をもっと気にしていれば…妻はカーブを曲がり切れず転倒。既に対向車が迫っていて…
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小説『さまよう記憶の行方』【第4回】夢崎 秀弥
離婚後、元妻は再婚しかわいい子どもが生まれた。一方その頃、夫は病室の白い天井を見つめていた――。
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小説『さまよう記憶の行方』【第3回】夢崎 秀弥
夫の不妊で子供ができない。「提供精子」での妊娠を提案すると「血がつながってない子は愛せない」と言われ…
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小説『さまよう記憶の行方』【第2回】夢崎 秀弥
「子供が欲しいからって、ここまでする?」下半身を弄られる屈辱。枕元の看護師が気を紛らわせてくれたが…
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小説『さまよう記憶の行方』【新連載】夢崎 秀弥
「男性側に原因がある可能性が」…医師に告げられ、アレの検査へ。自宅採取か、“とっておきのビデオ”か選べるらしく…