『11月』にみるこのエクスタシーは、「フローベールが十全に体験した唯一のものであろう。」注1と、M・ルブサンは言っている。しかし、〈できる事なら日の光の中に……〉〈あたかも天上の幸福が……〉と条件法過去形による非現実仮定の表現が用いられている事に留意する必要があるだろう。この条件法過去形は47年のブルターニュ旅行ベリル海岸での体験記述にも見出せる。先のサゴーヌ湾での記述も、汎神論的体験を述べるく…
[連載]フローベールの秘密
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評論『フローベールの秘密』【第5回】瀬戸 和子
【写実主義文学の代表作家・フローベール】自然への融解?自我喪失?「汎神論的な体験」について文学研究!
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評論『フローベールの秘密』【第4回】瀬戸 和子
青年の恋は、無限の始まり。恋への情熱は、果てしない恋の夢であり、空虚な現実でもある
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評論『フローベールの秘密』【第3回】瀬戸 和子
"無限"は無限であるがゆえに、いざペンをつかみ表現しようとも、一言も書くことが出来ない
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評論『フローベールの秘密』【第2回】瀬戸 和子
あなたが何かを表現したいと思って悪戦苦闘する時、思い出してほしい作家
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評論『フローベールの秘密』【新連載】瀬戸 和子
いち早く「不倫」を主題とした作家ギュスターヴ・フローベールを知っていますか?