【前回の記事を読む】【童話】妖精リルルは、人間の男の子に恋をしてしまいました。

童話 妖精リルルと芳芽の出会い

リルルは芳芽の部屋に入ると、気難しそうに腰をおろしました。それを見て、芳芽は今日のリルルはいつもと違うと気づきました。

「どうしたの、今日はいつもと違うじゃない。」

芳芽が優しくそう言うと、リルルはもう黙っていられなくなって、

「あ、あのね。芳芽君のことずっと好きだったの!!」

ついに言ってしまいました。芳芽はいきなり言われたので、びっくりしてしまいましたが、冷静に、

「そりゃ、僕だってリルルは好きさ。だけど、付き合うこと出来る? 僕達、人間と妖精じゃないか。妖精と付き合う気になんてなれないよ。」

妖精……。そっかあ、妖精と人間じゃ駄目なんだ。芳芽のこの言葉は、リルルの胸に激しく突き刺さりました。リルルは泣き叫びながら、芳芽の家を出て、自分の森へ帰ってしまいました。丁度、いたずらもののミートンがこの様子をしっかり見ていました。

「ははん、さてはリルルの奴、人間と親しくなったか。こいつは面白い。王様に告げ口してやろう。」

 

いたずらもののミートンは、さっそく王様の所へ行って、

「王様、実は折り入って是非あなたの耳に入れたいことがありまして。最近、この森に引っ越してきたリルルのことなんですけどもね。」

「何、リルルがどうかしたのか?」

「申し上げますと、あのリルルとかいう奴は、どうやら人間と交際してるようですよ。昨日、私が木の上で日なたぼっこをしていたら、そのそばの家の中で、リルルが人間の男と話し込んでたんですよ。」

王様はひどく怒って、

「何!! 人間と接触しないという規則を破るとは、けしからん奴め。リルルをここへ連れて来い。」

と、苦々しい声で言いました。まもなく連れて来られたリルルはあまりの悲しさに耐えきれないようなあわれな姿をしていました。顔が涙でぐちゃぐちゃなのです。王様は、

「リルル、お前は人間と交際してるそうだが、本当か? もし、そうならば、もうこの森にいる必要はない。この森から出て行け!!」

「王様、あ~あ、それはあんまりでございます。」

と、涙をこぼしながら、王様に一所懸命お願いしました。交際とは、あまりにも大げさ過ぎます。

「ならん、出てゆけ。今すぐに。」