【前回の記事を読む】【詩】今は平気じゃないけど たった一つだけ捜してる言葉

童話 妖精リルルと芳芽の出会い

昔、風の子や雨の子などがいた頃、この森に妖精も住んでいました。

この森にはまだ誰も近寄らないでいて、放りっぱなしになっていました。

それでいて、木がちゃんとしている不思議な森でした。

さて、そこには、妖精たち、いろんな妖精たちがあっちこっちに住んでいるのでした。そして、もうすぐここにやってくる新しい友達の妖精リルルもこの森で人生を過ごすことになったのです。

当人の妖精リルルは、森の中へ続く小道を、重いかばんを引きずりながら、えっちらおっちらと歩いていました。

「ああ、全く大変だわ。この森へ来てから少しも休んでないっていうのに。こんな私で友達になれるかしら。本当、心配だわ。」

こんな不安を感じながら、リルルはやっと森の妖精の住んでいる村にたどり着きました。

 

リルルが妖精の王様に会いに行くと、妖精の王様は、

「この森に住むために来たからには、今日からこの森でのルールを守らなきゃいかんぞ。お前は小さい頃にいた森に住めなくなって、ここに引っ越してきたというが……。」

「はい、住んでいた森が大嵐で住めなくなったので、ここに引っ越してきました。みんなと親しくなるようにがんばりたいと思います。」

リルルがそう、自信っぽく言うと、

「では、サリエルさん、これからこの子を新しい家に連れてってあげてください。分からない事があったら、何でもサリエルさんに聞くように。」

すると、それまで王様のそばにずっといたサリエルがリルルの方へやってきて、

「では、行きましょうか。リルル。」

と、リルルの手を引いて、さわいでいる妖精村へ入っていきました。

 

「では、妖精は普通、狭い所で住むものなので、小さな穴の中で住んでもらいます。別に、ベッドとかバスルームや、その他必要なものはそろっているので大丈夫です。この森でのルールは、

・妖精らしく妖精と仲良くすること。

・夜中に森を抜け出さないこと。

・妖精以外の者とかかわりを持たないこと。

です。守らなければ、王様のお怒りをうけることになります。分かりましたか?」

「はい、分かりました。」