中心視野と周辺視野

それでは周辺視野はどのくらいの時間で見えている、視覚として成立しているのでしょうか。そのことを考える前に、視覚の時間分解能(認識できる最も短い時間)についてふれておきます。

私達の視覚での時間分解能は、約30ミリ秒といわれています。ですので、それよりも短い時間間隔は識別できません。例えば蛍光灯は1秒間に100回(または160回)点滅を繰り返しているとのことですが、それを視覚的にとらえることはできません。また、視覚情報が複雑なほど視覚処理に負荷がかかり、時間的な識別能としては30ミリ秒よりも長くなると考えられます。

映画は1秒間に24コマの静止画像が次々と映されるもので、連続的な映像に見えます。だいたい40ミリ秒程度に1コマとなりますが、1コマ1コマを識別できません。ちなみに静止画像を短い時間間隔で少しずつずらして提示していくと、なめらかに動く連続的な映像に見えますが、これには仮現運動が関係しています。

仮現運動とは、例えば点の位置を少しずつずらして提示していくと、点が移動したように感じる現象のことです。このことも、映画での映像が連続的に見えることに関与しています。

視覚の時間分解能が約30ミリ秒ということと、周辺視野が常に連続的に見えているということを考えると、その時間(約30ミリ秒)と同じくらいの速さで周辺視野では見えている(視覚化がされている)のではないかと考えたくなるところです。

ここで視覚誘発電位の測定では、フラッシュ刺激で約30~40ミリ秒後、パターン反転刺激で約75~100ミリ秒後(約60ミリ秒後のこともある)が、網膜に刺激が与えられてから最初に視覚皮質で記録される電位ですので、このことから、周辺視野では約30~40ミリ秒くらいで見えているのではないかと考えたくなるところです。