一瞬だけ目を開けたときに見える映像
では実際の見え方で、最初から何が見えているのか、例えば視線を向けてから100~145ミリ秒以内(またはその付近)ですでに見えているのか、見えているとすればその映像とはどのようなものなのかについてですが、これは一つの考え方なのですが、例えばずっと目をつむっていて、ある時点で瞬間的に目を開け、すぐ閉じる行為、いわば瞬目(目を開けていて、一瞬閉じること。瞬目は百数十~二百数十ミリ秒程度といわれています)の逆となるわけですが、こうすると何が見えるでしょうか。
この時目が開いている時間は、どれだけ速く目を開けて閉じるかにもよりますが(もちろん一瞬だけしっかりと目を開けることが前提です)、とにかく瞬間的なはずで、このときの見え方としては、簡単に言いますとはっきりとは見えないというか、一瞬だけ不明瞭な見え方がするように感じます。このことが意味しているのは、このとき一瞬だけ、中心視野で不明瞭な映像が見えているということではないかと思っています。
このように一瞬だけ目を開けてすぐに閉じると、見え方としては、瞬間的に不明瞭の状態のまま見えなくなりますが、このときそのまま目を閉じず開け続けていると、ふつうにはじめからはっきりと見えているように感じます。このことは当たり前のようにも思われますが、よく考えると不思議なのです。
目を開けてすぐに閉じることと、目を開けてそのまま開け続けることとでは、目を開けるところまでは同じで、どちらもまず見えるわけですが、その後すぐに目を閉じると不明瞭に見えて、そのまま目を閉じないと、その最初の不明瞭な映像は見えず、はじめからはっきり見えているように感じるということです。
ふつうに考えますと、目を開けて見えたところまでは同じなので、どちらも同じように最初は不明瞭な見え方がしてもいいように思うのですが、目を閉じないとその不明瞭な映像は見えないのです。なぜこの両者は、最初は目を開けるという同じ行為なのに、見え方がちがうのでしょうか。目を開け続けると、最初に不明瞭に見えるはずの一瞬の映像はなぜ見えないのでしょうか。