環境都市の光景

フライブルクへ着いた!

八月十九日、明るいラテンから堅実なゲルマンへ。ストラスブールからドイツへ戻り、一時間くらいでフライブルクへ着いた。NHKが理想の環境都市と放映した、私のこの旅の目的地。「黒い森」の南西部にある人口二一万の中都市で、モザイク模様の石畳とその脇を流れる冷たい山の清流が心地よい、落ち着いた学芸都市である。

かつてハプスブルク家の支配下にあったため、街の風景がなんとなく優雅な雰囲気である。アインシュタインも、ここで教授になり欧州で戦後最も大物の哲学者ハイデッガーは、ここの大学の総長だった。シティーホテルで泊まることにして(九八ユーロ)、早速街の探索に出かけた。

この都市の政策的環境重視の要点は三点にまとまるだろう。

1.自動車のしめだし、パークアンドライドの普及。

2.低床式路面電車(LRT)の採用によるバリアフリー。

3.ビニールレジ袋の排除、梱包材の改良。

1は試しに一日乗車券(七・八ユーロ)を買って市電の各線の終点まで乗りまくった。どの停留所もよく整理されている。一応成功であろう。

2は全ての市電がそうなっており問題ない。この街にはシュヴァーベン門の二つの門が主要街道に関をつくっており、車を締め出しやすい。

3は生活に関連して最も規制しにくいが、他都市同様、買い物袋を用意させたりエコマネーとして袋代を取ったりして解決しているようだ。

私ども愛知県民は前年、環境万博を経験したので非常にシビアな方策を沢山見ている。例えばゴミの九分別など、まだ世界で実用化されていないと思う。しかし、ドイツのどこかで着々と実行しているかもしれない。良い意味で日独の競争するのも良いのではないか。

この日は夕食はシュヴァーベン門とつながる山腹にあるシュロッスという眺めのいいレストランでカモとマトンのスネ肉、スープというご馳走だった(三五ユーロ)。

山頂に発電風車が回る

翌朝、徒歩で駅に向かった。美しい大聖堂を左に、市庁舎を右に見て行くと大通りが歩行者天国であることがいかに清々しいかを痛感した。プラットフォームでさらに「発見」があった。

国鉄駅をまたいで市電の陸橋駅がある。国鉄各ホームからエレベーターが立ち上がっており、市電駅に計四本取り付けてある。壮大なバリアフリーである。

向かいの山頂には南ドイツには珍しい発電風車が三基回っている。フライブルクという都市は環境デザインも優れていると感心しきり。