山頂に発電風車が回る
北行きの列車で再訪の大学都市ハイデルベルクへ着く。駅前にイビスホテルがあり、そこへ宿泊することにした(二泊一七八ユーロ)。
駅前付近は新市街で私は初めて見る。一昨年来た時は城を含めて旧市街だけだったが、こちらの方が繁華である。ここにもある低床式市電に乗り、旧市街入口のビスマルク広場に着いた。賑わいは相変わらずである。
まず大聖堂まで歩き、有名なアインシュタインのステンドグラスを見る。実はこの他にも医学や化学や経済学などのステンドグラスがあるが、シャッターでしめてあり、広島を描いた物理学のグラスのみが公開されている。これはひとえに日本人観光客へのサービスである。そのくらいだから日本語も結構通じる街である。
今回は学生牢を見物してから大学建物内を見た。日本ゆかりのマックス・ウェーバーやヤスパースの写真が見られて喜ばしかった。
翌日は朝から家族ごとの自由行動ということにして、私たちはライン沿岸のヴォルムスとマンハイムへ行くことに家内の提案で決めた。
ハイデルベルクから一時間十分ほどでヴォルムスヘ着いた。ここはどういうことはない田舎町だが、駅の近くに緑青にまみれたルターの記念像がある。回りをフスらの宗教改革者の像が取り囲んでいる。改革時に、この街でしばしば宗教会議が開かれたので知られている。
マンハイムは四十分戻って着いた。結構大きい人口三二万の都市で市電も走っている。一九世紀末の立派なアールヌーボー様式の給水塔があり、周りを噴水と公園が囲んでいる。
ライン川の水を一旦地下水にして汲みあげて上水道にした喜びがほとばしっている。この日はこんなところでハイデルベルクへ帰った。そろそろ旅の疲れも出てきて、異国の知らない街を歩くのも足が重い。
翌八月二十二日、フランクフルト経由で四人は帰国の途に着いた。