明るいストラスブール

まぶしい夏らしい暑さである。北ドイツとは隔世の感がある。修理中の駅前広場の正面に大衆的なイビスホテルがあり早速申し込んだ(二泊一四八ユーロ)。夕食に出かけて、ライン支流のイル河沿いの木組みが美しい小フランス地区にある、よしずばりのレストランで、フォアグラなどに舌鼓(五六ユーロ)。

翌朝、ぶどう畑の中を突っきって電車で三十分のコルマールへ行った。これは家内の提案で、この街の美術館にあるグリューネバルトによるイーゼンハイム祭壇画を見たのである。リアルな筆致で磔刑にされたキリストの顔のしわひとつひとつまで克明で悲惨である。クリスチャンは全世界の苦しみを背負って死んだ姿にますます信仰を強くするのだろう。

ストラスブールへ戻り、とてつもなく背の高い大聖堂へ行ってみると大変な賑わいである。大聖堂と木組みの家を対象に、この都市も世界遺産に登録されている。そういえば新任のローマ法王が下流のケルンへ行幸しているのである。狂喜乱舞も当然か。

この都市は欧州の都とも言われる。EU議会がある。独仏の間で翻弄されてこの都市は国際的に強くなった。

午後、イル河の遊覧船巡りをした(一四ユーロ)。一四〇人乗りの大ボートである。暑いが気分が良い。

ストラスブール中心部はイル河の中州に成り立った。左右の水位が違うので二つの閘門があり、欧州特有の運河風景を見せている。イル河下流を北西に抜けると総ガラス張りの近代的な欧州議会が見えてくる。近づくとすこぶる壮麗でモダンなのに感心した。ヨーロッパ統合の象徴をこの目で見て、日本も中国市場などでしっかりせねばと心から思った。