俳句・短歌 四季 2022.03.03 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第95回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 曇り空そら木々密ひそやかに佇んで心の波を静めて呉れる 水際みずきわに音も無く生え青葦あおあしの彩り冴さえて慰め貰う 新しく深緑しんりょく萌える雨上がり命輝く草木くさきの姿
小説 『アイアムハウス』 【新連載】 由野 寿和 静岡県一家三人殺害事件発生。その家はまるで息をするかのように、いや怒っているかのように、大きく立ちはだかり悠然としていた 午前十一時。サイレンを鳴らさず、車両は静岡県藤市十燈荘(じゅっとうそう)に到着した。静岡中央市にある県警本部から十燈荘までは、藤湖をぐるっと大回りして藤市経由でトンネルを通り、小山を登ることになる。藤湖を見下ろす高級住宅街、十燈荘は、土曜の昼だが活気はない。既に外部への交通規制が敷かれているとはいえ、不気味に静まり返っている。ここで殺人事件があったことを、住民達が知っている気配はなかった。その家…
小説 『地上に輝く星たち』 【第2回】 カスミ シズカ 野球観戦と終戦記念日。野球はまだましだけど、戦争は知りたくもない。知れば知るほど、戦争との距離が近くなるようで怖い。 晃たちの夏期講習が始まった。ここから中学準備の塾生活が始まる。まず、入口でクラス分けが貼られているのを見る。特進クラス・Aクラス・Bクラスとある。Aは普通。Bはもう少し頑張りましょうクラスってことだ。健斗は特進。さすが洋子も特進。なんと悟はAクラスじゃないか。当然自分もAだと思っていた晃はまさかのB。クラス分けを見て、健斗も悟も、いつでもリーダー的な晃にかける言葉につまる様子だった。学校でのチャ…