俳句・短歌 短歌 故郷 2022.02.24 歌集「星あかり」より三首 歌集 星あかり 【第94回】 上條 草雨 50代のある日気がついた。目に映るものはどれも故郷を重ねて見ていたことに。 そう思うと途端に心が軽くなり、何ものにも縛られない自由な歌が生まれてきた。 たとえ暮らす土地が東京から中国・無錫へと移り変わり、刻々と過ぎゆく時間に日々追い立てられたとしても、温かい友人と美しい自然への憧憬の気持ちを自由に歌うことは少しも変わらない。 6年間毎日感謝の念を捧げながら、詠み続けた心のスケッチ集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 小雀が羽を振るわせ餌ねだる微笑ましき親子の絆 陸と海分かれた時を思わせる太古の雲か梅雨の空浮く 世界杯心熱くし熱帯化サッカー嵐過熱かねつして燃ゆ
エッセイ 『カサンドラ症候群からの脱却[人気連載ピックアップ]』 【新連載】 Happy Navigator 那美 妊娠4ヵ月目の裏切り......夫が会社の同僚と肉体関係を持っていた。「だってお前が、子どもを欲しがったから」 夫とは、私の会社の同僚の友人という形で知り合い、1年半のお付き合いの後、結婚しました。もちろん、幸せになるために結婚しました。子どもたちと一緒に温かい家庭を築くことが目標でした。1年半のお付き合いの中でも、私は特に彼に違和感を持つことはありませんでした。いま思えばなんですが、結婚に関して前進する手続きはすべて私がやりました。・結婚するまで二人で積立する・家具や生活用品を買う・結婚式の日取りを決め…
小説 『ヒスイ継承』 【第5回】 守門 和夫 夏休みの図書館。音を立てないよう、いつも本を読んでいる二人へ近づく。無言で渡したメモの返答は...... 図書館に行くと、同じクラスの男子二人をよく見かける。いつも二人でいる。話したことはないが、名前は知っている。宮川研一(みやかわけんいち)と西森悟(にしもりさとる)。研一は歴史、悟は科学の本が並ぶ棚(たな)から本を抜(ぬ)いて立ち読みしている。二人は図書館で静かにしている。それはあたりまえ。ところが教室でも、二人だけで静かに話している。クラスのらんぼう者やそのとりまきたちも、二人にはかまわない。ほ…