涼風・ドイツの心
シティ・サークルで遊覧
第6日(8月15日、日曜)はカトリーヌが紹介してくれた2階建て市内巡回バス「シティ・サークル」で市内遊覧することにした(一日定期券のようなもので、バスストップで乗り降り自由。5分おき、18ユーロ)。シティ・サークルは左回りで、KaDeweで乗車するとベルリン東南部から見物して行く。ポツダム広場、ユダヤ博物館、チェックポイント・チャーリー(後述)辺りから旧東ベルリンの珍しい地域に入る。詳しく書きたいが紙数がない。
ストップ10のベルリン大聖堂で降りて、スプレー河畔の「ラデッセン」で昼食をとる(26.2ユーロ)。名物のケーニヒベルガー・クロプセをメインにして美味しかったが、アブがミルクに飛び込んできた。ドイツは森林を大切にしているが、同時に昆虫も繁殖している。環境先進国の問題点であろう。
またバスを拾って、懐かしいウンター・デン・リンデン通りを西に走りストップ12に至ると、そこは壮大なブランデンブルク門で、そこで下車した。北に見えるドイツ連邦国会議事堂が目当てである。入門するのに長い列が連なり、乾燥しているが暑い日差しの下で30分くらい並んだ。
この建物はナチスの陰謀といわれる放火で焼かれ、大戦の爆撃にも遭い、以前来たときなど、惨たんたる様子であった。それがすっかりリフォームされ、偉容を誇って再建されているのだ。前に広大な芝生があり未来のドイツを背負う子供たちが三々五々遊び回っている。
やっと建物へ入りボディチェックが済み、隣の部屋に通されると、何とその部屋そのものが、大きなエレベーターであり、ぐんぐん上昇して屋上に着いた。ここには大きなガラスのキューポラがありまたびっくりさせられる。
バイオマス設備の議事堂
国会議事堂のリフォームはイギリスの名匠ノーマン・フォスター卿(香港上海銀行の設計で有名)の手になり、何回かの変更を経て現在のキューポラを頂く形態に落ち着いた。
このキューポラは高さ23.5メートル、直径40メートルのガラス張りで、議場に自然光を導入し省エネを図る。その表面積3000平方メートルを覆うのは、ビニール片をサンドイッチした最大4.1メートル×1.8メートルのラミネート・ガラス。内壁に沿って旋回する幅1.6メートルのラセン型車路が、キューポラ空間を補強する。
キューポラ頂部からは、逆円錐形の「光の彫刻」が吊るされている。直径2.5メートルの基部が、頂部で16メートルに広がるこの彫刻は、360枚の反射ミラー・ガラスで覆われて重さが300トンもある。
その上、環境への配慮としては、コージェネレーション燃料にナツメヤシ、ナタネ、ヒマワリなどの植物油を使用し、廃熱発電時には二酸化炭素の排出量を化石燃料より94%も低減させたという驚くべき植物バイオマス設備がなされたことは、まさに涼風のようなドイツの良心だ。
この議事堂が400億円の工費をかけ、延べ床面積は6万1166平方メートルである。21世紀初頭ドイツにおける最も注目すべき建築物と言ってよい。