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出産選択の過去と現在~プライベート出産という選択
「プライベート出産」とは
さて、専門家の立会わない出産は、右記のように一般的には「無介助分娩」と呼ばれますが、この意図的・計画的に行う無介助分娩を、当事者たちの多くは「無介助分娩」とは呼ばず、「プライベート出産」、「自力出産」、「自然出産」、「自宅出産」などと呼んでいます。
そこで、出産選択の側面から見ていくためには別の呼称が必要となります。
「無介助分娩」がどのような状況で行われるかと言うと、想定できるのは、
1.「意図的・計画的に医療者の立会わない出産を選択し、準備を整えて行う」
2.「病産院や助産所で出産予定であったが、自宅もしくは道中(車中など)で施設に到着するまでに生まれてしまう」
3.「自宅など施設外で助産師あるいは医師の立会いのもとに出産予定であったが、医療者が到着するまでに生まれてしまう」
4.「本人が妊娠に気づかないまま、もしくは周囲に妊娠・出産を知られないようにして、こっそりどこかで産み落とす」
の四つです。
2,3は選択的に行われていません。そして、4は自己開示されません。
右記した当事者たちの呼称の中で、「自然出産」や「自宅出産」は、医師や助産師が立会う場合もあり、これは必ずしも「無介助分娩」とは限りません。
「プライベート出産」、「自力出産」ともに、医師、助産師不在の出産であることはわかりますが、「自力出産」は、誰の助けも借りずひとりで産むという意味にも解釈できます。
一方、「プライベート出産」には、家族間などプライベートな環境での出産というニュアンスが含まれます。彼女らは家族や知人などと産む方法を選んでいます。
そして、その出産の選択を当事者が自己開示しなければ積極的な選択とは言えません。
そこで、私は当事者の意図を尊重し、彼女らの呼称の中から「プライベート出産」を選択し、
「本人が意図的・計画的に医療者の立会わないプライベートな環境で出産することを決め、準備も整えて行う出産で、かつそれを当事者が自己開示する出産」
を「プライベート出産」と定義し、こう呼ぶことにしました。
なお、海外でもプライベート出産を行う動きが見られており、これは"freebirth"や、"Unassisted Childbirth(UC)"などと呼ばれています。