松岡によるとイギリスのfreebirthは、出産の医療化が進み、助産師の業務範囲がガイドラインで規制され、女性が助産師の立会いによる出産を望みにくい状況になったことが影響しています。

例えば、帝王切開後の出産で経腟分娩を望む女性が、freebirthを選択していることが報告されています。

一度帝王切開で出産すると、自宅出産を希望しても、ガイドライン等の規制によって国民保健サービス(NHS:National Health Service)の助産師の立会いによる出産を望めないからです。

アメリカでも、帝王切開後の出産でUCを考えるなど、医療の管理下で納得のいかない出産を体験し、次の出産の際、UCを行う人がいることが報告されています。

私は、日本も同じことが起こっているのではないか、すなわち出産の医療化と、国の政策やガイドラインによる規制といった社会のシステムが、プライベート出産を生み出しているのではないかと考えました。

出産選択の二極化をめぐる疑問

近年増加している無痛分娩は、出産が医療の管理下に行われるものであることを前提に、医療の力で陣痛の痛みを緩和させることで満足のいく出産をしたい選択であるのに対し、プライベート出産は、医療の介入がない環境で出産することにより、満足のいく出産をしようとする出産方法の選択です。

これらは、現代の出産選択の二極化を表していると思います。

では、なぜプライベート出産は医療者の制止に反し行われるのでしょうか。そしてなぜ医療者は強く制止しようとするのでしょうか。

私は、プライベート出産が医療者に制止される理由、そして医療者の制止に反し行われる理由は、出産を医学モデルで捉えるか、社会モデルで捉えるかが関係しており、さらに出産選択には、個人の生き方や生命観、すなわち哲学的思想が関係するからだと思います。