俳句・短歌 四季 2021.11.11 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第79回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 夜に成り暗い巷ちまたを濡らし行き 心も洗う春雨はるさめの水 園庭えんていに赤紫あかむらさきの花開き 躑躅つつじ集団幸福に咲く 夕景色ゆうけしき平安湛たたえ目を飾り オレンジ色に輝く美徳
小説 『眠れる森の復讐鬼[人気連載ピックアップ]』 【第4回】 春山 大樹 「覚えてない?同じクラスの、公園で灯油被った女の子」…死んだと思ってたが、全身火傷で植物状態のまま入院中らしい。 【前回の記事を読む】「詐病」を疑われた高校生息子。「カイロを隠して体温計を温めることもできる」と医師に言われ…勿論普段も家でごろごろしているだけなので、特に入院生活がそんなに困るわけではない。食事の準備を心配する必要がないだけましである。ただ入院費用は親からの仕送りだけではどうしても足りない。だから入院のことを黙っておくわけにはいかなかった。あの母親のことだから、息子が入院すると聞いたらすわ一大…
小説 『ヤモリの慟哭』 【第4回】 緒方 樹人 ミャンマーは「最後のフロンティア」ともてはやされ、日本から多くの企業や個人が集まった。僕もその一人だった。 【前回記事を読む】アウンサンスー・チー国家最高顧問の父で、国民から国父と呼ばれたアウンサン将軍は暗殺された。それはある日、事務所で両手に書類を抱えて、慌てて席を移動しようとしていたときの出来事だった。突然、オフィスの女性スタッフ全員から一斉に悲鳴が上がった。なんと席を立った瞬間、僕のロンジーが見事に足元に落ちてしまったのである。僕は反射的に英語で「安心してください! 穿いてますよ!」と叫んでみた…