俳句・短歌 四季 2021.11.04 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第78回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 湖(みずうみ)の水面(みなも)沈静我が心 そう有れかしとそっと見つめる 娘達上着(うわぎ)を脱いで美しく 天女(てんにょ)の様に夕焼けに舞う 図書館の展望台を霧包み 愛の行き交う無錫眺望(ちょうぼう)
小説 『約束のアンブレラ』 【第8回】 由野 寿和 3ヶ月前に失踪した女性は死後数日経っていた――いつ殺害され、いつこの場所に遺棄されたのか? 激しい雨が次第に弱まり、木々の葉には美しい雫が溜まり始めている。時刻は午前十時半。応援に駆けつけた静岡県警の捜査員は現場周辺を封鎖し、地形の安全確認を行っていた。大通りは通行止めが実施され、周辺は土砂や流木が散乱し危険な状態だ。鑑識課の捜査員数名が周囲を取り囲み、ブルーシートの包囲線が敷かれていた。静寂の広がる藤山の山中では、静岡県警の現場検証が始まっている。鳥谷は息を大きく吸うと、周囲の匂いを…
小説 『夢を叶えた、バツイチ香子と最強の恋男』 【第40回】 武 きき 「私と離婚したいの…?」今日で三回目。夫のワイシャツに口紅、香水の匂い、ポケットからイヤリングが… 【前回の記事を読む】「愛している。意地を張ってごめんな」息ができないほどの熱いキスをして仲直り。「ベッドに行こう」彼に言われるがまま…朝の行ってらっしゃいのキスは熱い。胸も揉んでいる。朝から、可笑しい。「早く帰るから」と言って、出かけた。「丈哉さんって怖い顔をして、子供のようだ。ウフフフフ」と独り言。何故か体も軽いし、お掃除の時も、ルンルン。夕方、六時。「ただいま!」と帰ってきた。「早いお帰りね…