腕
夫の夢を見た。
夢の中で、夫は私の大嫌いな女の手を握っている。
手を握り合ったまま、二人はなにやら楽しそうに話している。
私は物陰から二人の様子を見ている。
そして夫の腕が伸びて女の肩を抱こうとした時、
私は夫の背後に迫った。
驚いて夫が振り向く。
私は持っていた斧を夫の腕に振り下ろした。
そこで夢が覚める。
玄関のドアをたたく音がする。
私は血まみれの腕を抱いている。
夫が腕を取り返しに来たのだ。
私は腕を隠す場所を必死に探す。
ドアをたたく音がだんだん激しくなる。
私は狼狽するが、腕を隠す適当な場所はなかなか見つからない。
気が付くと、ドアをたたく音は止んでいる。
私は振り返る。
すると夫が斧を振り下ろすのが見えた。