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「高齢の親と長期間、離れて暮らす」初めての世代
「親孝行、したい時分に親はなし」。親のありがたみが分かる年頃になり、親孝行をしたいと思うようになったときには、もう親はこの世にいない―。そうした後悔や嘆きを表現した言葉です。
七〇歳代で亡くなるのが普通だったような時代は、そのとき子どもは四〇歳代。会社の中心的存在として働き盛りで仕事に忙しく、その子はまだ学生なので手もかかる。とても親まで気が回らないという状況だったでしょう。
それから十年もたてば仕事や子育てが一段落して、親孝行をする余裕が生まれてくるのですが、そのときにはもう親はこの世にいない。「親孝行、したい時分に親はなし」は「さりとて、墓に布団は着せられず」と続くようですが、「何の孝行もできなかった」と後悔した人が多かった時代だと思います。
超高齢社会が到来した今は、いわば「親孝行、したい時分に”親がいる”」時代です。六〇歳代で退職した人の親は八〇歳代になっていますが、衰えはあるものの多くは自立して暮らしており、昔のように亡くなったから親孝行ができないということはありません。超高齢化は親孝行を可能にしたとも言えます。
しかしながら、昔と違うのは都市化、核家族化によって親とは遠く離れて住んでいることが多く、近くにいるからこそできる手助けや三世代の団らんといったような親孝行はなかなかできません。田舎にいる親のほうがお金を持っていますから、仕送りなどは大した親孝行になりませんし、都会に住んでいるから何かとお金がかさんでしまう子に経済的な支援は難しいケースが多いでしょう。