俳句・短歌 四季 2021.07.29 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第64回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 陽も隠れ気候温暖巻雲けんうんのオレンジ色に染まる夕暮れ Tシャツの夕闇時ゆうやみどきの女学生魅力膨らむ乳房ちぶさに惹ひかれ 帰宅後に涙しながら慕わしく愛しい人の面影想う
小説 『超能力探偵 河原賽子』 【第6回】 春山 大樹 急に連絡が途絶えたストーカー男の様子見に、家を訪ねた。電気は点いているのに返事がない。こじ開けたドアの向こう、見えたのは… 【前回の記事を読む】ストーカー気質の男の相談で探偵事務所を訪れた。「大抵の男はこれで震えあがる」とすすめられたオプションは…林良祐の家は都心の住宅街にあった。築40年以上は経っているであろう古ぼけた2階建ての木造家屋で、周囲は塀で囲まれているが庭は非常に狭く、そこに植えているというより勝手に生い茂ったような笹が周囲からの目隠しになっていた。西側に細い路地があり、そちら側に庭の小さなゲートがあり、…
小説 『小窓の王[注目連載ピックアップ]』 【第2回】 原 岳 登山の事故で彼は死んだ——「処分してもらって構わない」。彼の妻は遺品を受け取らなかった。葬儀の際、その表情には……。 【前回の記事を読む】雪山での遭難事故以来、何度も同じような「悪夢」を見る。ただ、夢から覚めても——指は無くなったままだった。水だけでじゃぶじゃぶと顔を洗い、水滴を滴らせながら歯を磨く。石鹸を頬と口の周りに擦りつけ、目地もヒビもカビが埋め尽くしたタイルと白いウロコだらけの鏡に向かって髭を剃る。剃り終わるとまた顔を洗って石鹸を落とし、ついでに寝ぐせの頭皮まで水をかける。風呂場から出ると鳥肌はいよいよ…