住宅ローンに関する手続き
住宅ローンを返済中に債務者が亡くなってしまった場合は、金融機関と相続人との間でローンの承継人を特定の相続人に定めるのが普通です。この決定は、債権者も一緒に話し合って決めることなので有効な決定となります。
この決定がされると、抵当権といった担保の債務者の変更登記をする必要があります。さらにその前提として、一般的には住宅ローンの債務者は不動産の名義人でもあるため、その名義を変更する登記も必要となります。
ただし、住宅ローンを組むにあたり、「団体信用生命保険」に加入している場合が多いです。まずは借入先の銀行等へ連絡し、加入しているか確認しましょう。その際には、手元にローンの引き落とし先の通帳と死亡届などを用意して電話しましょう。
ただし、この電話をもってローン返済口座は凍結されるので、注意が必要です。「団体信用生命保険」に加入していれば、その保険金により住宅ローンの返済に充てられます。「団体信用生命保険」に加入していない場合、または適用されない場合(例えば途中で保険料を納めなくなった場合に失効してしまっているケース)については、住宅を相続する方が、住宅ローン債務を引き継ぎ、返済していくことになります。
■ワンポイント 団体信用生命保険とは
団体信用生命保険とは、住宅ローン専用の生命保険のことです。通称「団信(だんしん)」と呼ばれています。団信に加入していれば、住宅ローンの債務者が死亡したときや高度障害状態になったときでも、住宅ローンの残金の分の保険金が金融機関に支払われ、住宅ローンを清算することができます。住宅ローンを組むときは、団信の加入が条件とされていることがほとんどです。
〈団体信用生命保険の保険金の請求(死亡による債務弁済手続き)〉
【手続き方法】
(ステップ1)住宅ローンを借りている金融機関に連絡します。
(ステップ2)保険金請求のために以下の必要書類を準備します。
必要書類等
1.団体信用生命保険請求書
2.死亡証明書または死亡診断書(加入期間が短い場合には、保険会社指定の様式での提出が必要になることが多い)
3.契約者が亡くなったことの記載のある住民票
4.振込口座(変更)届(死亡用)
(ステップ3)提出書類をもとに生命保険会社が支払いの可否を審査します。
(ステップ4)審査を通過すると保険金が支払われ、残債は全額完済となります。
団体信用生命保険の保険金の請求は、書類を提出してから審査に1カ月ほどかかることが多く、債務が完済するまでに2カ月以上かかることもあります。
その間は、住宅ローンの返済を続けていかなくてはならないので、注意が必要です。完済後、亡くなったあとに支払った返済金は返還されます。
また、団体信用生命保険の保険金により債務が完済できた場合は、担保の抵当権の債務者の変更登記を経ることなく、抵当権の抹消の手続きをすることになります。