会社を買うということ

『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』(三戸政和著、講談社・2018年刊)という本を読み、「会社を買う」という概念が自分の人生に現れたものの、やはり勤めていた会社の仲間や進行中の業務、プロジェクトのことが頭をよぎりました。

会社に不満はほとんどなかったですし、ここまで良くしてくれた会社に精一杯恩返しをしたいとも思っていました。本当に辞めるとなったら、何より自分を成長させてくださった上司や仲間、後輩に申し訳ないと思ってしまう自分がいました。

特に進行中だった組織のチームはいつでも私を鼓舞してくれていました。思うように成績が出せなかった時期も多くありましたが、上司は変わらず私を教育してくださって、支えてくれていたため本当に考えました。自分の立場的に、後輩にも示しがつかないと考えてしまいました。

副業として行うにしても、すべてが中途半端になり両方共倒れするのではないかという不安もありました。

私が勤めていた会社は朝8時30分から夜20時までの比較的長い勤務時間でしたので、就業後の時間で副業を行うとなると、体力的にも不安はありました。

そんな時に読んだ本が、堀江貴文さんの『多動力』(堀江貴文著、Audible Studio/幻冬舎・2018年刊)です。そこには「サルのようにはまりハトのように飽きよ」という言葉がありました。

私は当時の会社に不満はほぼありませんでしたが、引っかかっていることがありました。それは「新卒で入社して8年間同じ仕事を続け、その後も同じ会社で仕事を続けることは自分の視野を狭めているのではないか」という点です。

そう考えると、このまま同じ視野でいるのが次第に不安になってきました。そしてあらゆる不安よりもチャレンジしたいという思いのほうが大きくなっていきました。

一度しかない人生、8年間、サルのようにはまったので新しいことに挑戦してみようと決意し、私は『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』に載っているM&Aのサイトにいくつか登録することにしました。

ネット上には多くのM&Aプラットフォームがありました。私はグーグルで「M&A個人」と検索し、検索順位の上から順番に登録を試みました。企業専用のプラットフォームもあったため、私が実際に個人で登録できたプラットフォームは3社でした。

また、会社を買う金額を500万円以内と決めておりましたので、公開案件を見て実際にそのような案件が多い「TRANBI」さんに絞ってM&A活動を行いました。

《サイトについて》

「TRANBI」は1万5800件以上(令和3年3月1日現在)の買い手候補が集まる国内最大級のM&Aマッチングサイトです。私が初めに見たプラットフォーム3社の中から「TRANBI」にした理由は、1000万円以内の案件が多かった点と手数料が安かった点です。

成功者の事例という項目では、実際にサラリーマンから独立された案件も出ており親近感が湧きました。そこに掲載されているのは、思い切ってチャレンジされた方々でもあり、自分も頑張りたいと触発されるような内容でした。

早速サイトに登録します。1分で無料登録ができるとありますが、本当に1分でできます。基本的に自分の個人情報を入力するだけです。必須項目は名前、住所、電話番号など定型フォームに沿ったものでした。