次に行ったことは、ジャンル別に会社を見ることでした。サイト内には多種多様のジャンルがあります。飲食店、ホテル、旅館関係、美容サービス、介護福祉、情報通信、農林業、製造、小売業、保険、建設、不動産……、ほとんどの仕事のジャンルがありました。その中で私が大学時代から想いのあった教育関係も存在しました。教育関係だけでも10企業はあったと思います。塾や幼稚園、そして英会話教室などです。
私の昔からの想いとして、「xしたらダメ」という教育ではなく、「すべてを肯定して、その人の良さを伸ばす教育をしたい。そのような教育現場があれば面白い」と考えていました。そんな楽しい教育現場が自分で作れたら面白そう――その意志で私は教育ジャンルにフォーカスし案件を探すことに決めました。
とはいえ、私は個人ですし500万円以内という条件で探していたため、そのような条件では相手にされないだろうとも思っていました。なので、ダメ元でまずは数を打ってみることにしました。教育ジャンルの中で良いと思ったもの、気になる案件に、手当たり次第メッセージを送ってみました。
「はじめまして。御社の事業に興味を持ちメッセージを送らせていただきました。個人での契約を希望しています。個人でもよろしければ交渉よろしくお願い致します」
……返事なし。
5社ほど送りましたが、さっぱり返事がありません。やはり個人では買えないのかと思っていた矢先、大切なことを見落としていたことに気づきます。それは私がメッセージを送った案件は、売却案件公開から3ヵ月後や半年後と、時間が経っていたものでした。
案件公開後、1ヵ月から2ヵ月で買い手は絞られていきます。今考えると当たり前ですが、過去の案件は全く意味のないものでした。私がサラリーマン時代にファーストプライオリティとして実施してきたスピードという点は、他のビジネスの世界でも大切だということを再認識しました。
気を取り直して案件を見ていきますが、なかなかその日に出てくるようなタイミングの良い案件は見つからず、通知機能を設定して新規案件を待つことにしました。
「TRANBI」には案件通知機能があります。自分が気になる業種、地域、価格の案件が発生したらメールで通知してくれるのです。私はこれに登録し待つことにしました。
ビジネスにおいてスピードは命です。M&Aでもそれは同じです。プロ野球選手もFA宣言した際に、いち早く接触してきた球団に熱意を感じて入団することが多いのです。
それと同様に、M&Aの成立にはスピードが大きなウエイトを占めていると感じました。私の場合、初め無反応だった会社は接触スピードが遅かったからだと思います。結果的に成約に至った案件も、「スピード感があることで、熱意が伝わった」と先方から言っていただきました。
今はほとんどのM&Aサイトにお気に入り機能や通知機能があります。設定手順は簡単で、業種別、価格別、買い手は法人か個人かなどを選択し登録するだけです。私はこうした機能を活用してスピードコンタクトを取るように現在も心がけています。
話を戻しますが、5月から登録し案件通知は2週間に1件程度来ていました。しかし金額が1000万円を超えるものだったり、法人限定であったりと、思うように案件探しは進まないまま時が経っていきました。