マーケットインではなく、本当はプロダクトアウトのほうが重要
私は以前、製造業の方々などに「マーケットイン」の考え方の必要性を説いていましたが、現在はほとんど必要ではないと私は考えています。
「マーケットイン」とは、市場や顧客といった買い手の立場から必要と思われる製品やサービスを提供することです。これと逆の発想が「プロダクトアウト」で、これはつくり手側が良いと思ったもの、持っている技術を生かして製造したものを優先する考え方となります。
「マーケットイン」を製造業者が優先するとどこにでもある製造業社となり、何かが起こったときに自社のチカラでは業績を維持できなくなります。
その理由の一つは、ものづくりしか経験のない製造業の人に市場のトレンドを読んで「イノベーションをしてください」と言っても無理があるからです。加えて、「小さな会社」は避けるべき戦略だからです。
もちろん、時代に沿った変化は必要です。ですが、人間は自分の得意で好きな分野で仕事をするべきだと私は考えています。
これはどの業種でも同様だと私は考えます。得意ではなく経験のないことを無理にするより、自分の得意な製品づくりで、それを天職と捉え自分のつくりたいものにこだわったほうが魅力的な製品や商品が製造できるのではないでしょうか。
つまり、これからの時代、下請けの製造業では生き残れず、他者から見れば「どうでもいいこと」に徹底的にこだわっているような製造業は、これからも生き残れるでしょうし、成長できると私は考えます。
しかし、それには世界中で自社しかつくれないものにこだわる必要があります。自社の製品に、小さくても新しい市場をつくればいいのです。ソニーのウォークマンやiPhoneとまではいかなくても、十分に可能だと私は考えます。