価値の源泉革命と時間感覚
19世紀から20世紀に切り替わった前後の社会は、産業革命に端を発した産業組織の誕生や、自動車など「機械」による生活の変容、「無意識」の存在の発見、人類史上初の世界大戦などにより、大きな変化を経験しました。
20世紀初頭に芽生えた「運動」「スピード」への感受性は、アートの世界では機械や時間の美をテーマとした「未来派」で花開きます。
その後のカンディンスキーなどによる抽象絵画の「発明」、空間を4次元的に捉えるブラックやピカソの「キュビズム」や、「ロシア・アバンギャルド」など、ジャンプアップと言ってもよい急激な変化へと続きます。
同じ頃、建築の世界ではル・コルビジェが「住宅は住むための機械である」と述べ、その後の世界中の建築家に影響を与えることになりました。
世界大恐慌前夜のこの時代には、世界のフレームワークが入れ替わる「革命」の雰囲気が充満していたのです。
さて、日本語での革命という語は、もとは漢籍で天「命」が改まる(革まる)という意味でした。
明治になって福沢諭吉が「Revolution」の訳語に「革命」を充てました。
ですから今日の「革命」という語には、「Revolution」が本来持つ「循環」や「回転」というニュアンスが備わっていると感じます。
20世紀が21世紀になり、平成が令和になり、昭和がかなたの出来事となりましたが、時代は自転車の車輪のように回転しながら前へと進みます。
そして、19世紀から20世紀にかけての意識の変革を思い起こすと、21世紀に生きる私たちは、産業や社会の仕組みについて、知らず知らずのうちに古ぼけた概念に捉われていないか、再確認する必要があると感じます。
近年の世界を揺るがす事件は、2001年アメリカ同時多発テロ、2008年リーマンショック、2020年新型コロナウィルスなど、大体10年間隔で発生しています。