共同体感覚とは?
共同体感覚とは、英語ではSocial Interestと英訳されて「社会への関心」という意味です。もう少しかみくだいて言えば、社会を形成する他者への関心です(以下、他者への関心と言い換えます)。
共同体感覚は、アドラー心理学が目指す理想的ゴールです。アドラー心理学では、共同体感覚のある人は精神的に健康だとみなしていますので、共同体感覚は、「精神的な健康のバロメーター」であると言われています。
アドラーは、渡米後の初期の頃は共同体感覚を「Community Feeling」と英訳していました。晩年は「Social Interest」を好んで使用しています。
これは、感情(Feeling)という主観的な感じ方を表す言葉から関心(Interest)という行動的な関わり方を表す言葉へと変化しています。この関わり方が共同体への貢献です。
アドラーは、「社会や共同体から離れて生きる個人はありえない。」(『勇気はいかに回復されるのか』)と述べているように、人は一人では生きていけない社会的存在です。
この結びついている(絆の)感覚が共同体感覚です。他者との結びつきには、ある共同体に自分の居場所として存在して良いのだという感覚、居場所がある(私の役割がある)と信じられる感覚、つまり「所属感」がまず根本にあります。
自己の執着から他者への関心に転換して共同体感覚を育む
他者が自分に何をしてくれるかではなく、自分が他者に何ができるか(貢献できるのか)ということに関心の視点を転換しなければなりません。
自己の執着(Self Interest)から他者への関心(Social Interest)に転換することです。この転換は、自己受容、他者信頼、他者貢献の順に円循環することで達成し、共同体感覚を得ることができます(図1)。
自己受容とは、自分の欠点も含めて、ありのままの自分を受け入れることです。他者の評価にとらわれて自分をよく見せようとせずに、ありのままの自分を受け入れることです。
一言で言えば、自分が好きだということです。