キスは濃厚で、喘ぐような声を出していた。彩さんは、僕の手を彼女の胸に当てた。胸は小さくなかった。躊躇う僕の手を乳首に当てた。
「軽くもんで」
僕は罪の意識を覚えながらも、ただ呆然と彩さんに言われるままにした。不思議な興奮だった。
「あ、気持ちいい。両方の乳首、もんで。私の下も触って!」
「え? 無理だよ、そんなこと」
そう言っている間に、彩さんは強引に僕の手を彼女の下腹部に運んだ。
「あ、気持ちいい……。もっと触って! あんたのも触りたい」
「え? やめてよ!」
彩さんは、僕の言葉を歯牙にもかけず、僕の下腹部に手を運んだ。僕もその場の流れに逆らい切れなかった。甘い誘惑に身を任せるほかなかった。
不徳にも、僕は理性を忘れ、彼女の欲望に負けた。いつの間にか彼女のペースにはまりこんでいた。自分ではどうしようもなかった。
抵抗できず、なりゆきに任せるしかなかった。何度か理性を取り戻そうとしたが、こんな情況では本能のほうが勝っていた。彩さんは、幸せそうだった。小さく喘ぎながら、
「ねえ、あんたのも触らせて。私の下のほうも、全体を触って。もっと触って!」
彩さんは目を閉じて陶酔しているようだ。僕は、まったく理性をなくした腑抜けな男になっていた。
「ねえ、セックスしてくれない? レイプされたことはあるけど、セックスは、まだなんだ」
その言葉で、僕は目が覚めた。
「え? 駄目だよ! そんなことしたら。大変なことになっちゃう。僕は警察に捕まるかもしれないし。どちらの親も激怒するよ!」
「大丈夫だよ。ウチが責任、取るから」
「何、言ってんの。彩さんがどうやって責任、取るの?」
「なんかあったら、ウチが死んでやるよ」
「そんなの駄目だよ。とにかく、そんなこと言うなら、僕は帰るよ!」
彩さんは呆れたような表情で僕を見た。
「え? 何、言ってんの! セックスくらいのことで! ウチを独りにして帰るって言うの? バカみたい! わかったよ、セックスはいいよ! でも朝まで、ここで寝かせて……」
今度は、猫なで声で懇願した。
「それならいいけど、変なこと言うのはもう勘弁してよ」
「……わかったよ。もう、おとなしくする」