俳句・短歌 短歌 自由律 2021.04.17 句集「愛のままで咲く」より三句 愛のままで咲く 【第38回】 馬場 美那子 “こぼれる愛 からめた指の すき間から” 十七音に込められた、愛と感謝の川柳句集 母へ、恋しい君へ、愛犬へ、かけがえのない日常へ。やさしく、時に激しい愛の詩。 5章からなる川柳句集を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 あの人を思う心の導火線 この恋やめますか命やめますか 恋の毒味わいながら飲み干すさ
小説 『春のピエタ』 【第7回】 村田 歩 刑務所で、お袋と13年ぶりに対面…こんなに小さな女だったか―。あの頃、生活が苦しく、いつも歯を食いしばっていたお袋は… 俺たちは婆さんより早く呼ばれた。刑務官に案内されているとき、初めて親父が落ち着かない様子を見せた。首から下は先を行く刑務官に素直に従っているのに、首から上はまるで道を見失ったかのようにあたりをきょろきょろ見回している。勝手が違う、といった顔だ。俺は急に不安になった。悪い想像が浮かぶ。たとえばお袋は急病で、敷地内の医務室のベッドで身動きできなくなっているのではないか。だからいつもの面会室で会うこと…
小説 『ヒスイ継承』 【第6回】 守門 和夫 「グループ研究、おもしろそうだからいっしょにやるけど、二つだけ条件があるんだ」と言われ「なに?」とたずねると… 「急で悪いけど、これからうちに来ない? 打ち合わせをしたいから。外の自転車置き場で待ってる」波奈は二人の返事を待たずに、さっさと図書館の出口に向かった。あわてて文子も波奈を追いかけた。波奈が興奮をおさえきれずに言った。「ああ、緊張した!」文子もホッとしたようだ。「どうなるかと思ったわ。でも、うまくいったわね」まもなく研一と悟が、自転車置き場に現れた。悟が言った。「先に行けよ。オレたち、少し離れて…