俳句・短歌 短歌 自由律 2021.04.10 句集「愛のままで咲く」より三句 愛のままで咲く 【第37回】 馬場 美那子 “こぼれる愛 からめた指の すき間から” 十七音に込められた、愛と感謝の川柳句集 母へ、恋しい君へ、愛犬へ、かけがえのない日常へ。やさしく、時に激しい愛の詩。 5章からなる川柳句集を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 春の恋パステルカラーに染まりけり 我が胸に去来する恋苦い恋 許してしまうそれがホレたということよ
小説 『アイアムハウス』 【新連載】 由野 寿和 静岡県一家三人殺害事件発生。その家はまるで息をするかのように、いや怒っているかのように、大きく立ちはだかり悠然としていた 午前十一時。サイレンを鳴らさず、車両は静岡県藤市十燈荘(じゅっとうそう)に到着した。静岡中央市にある県警本部から十燈荘までは、藤湖をぐるっと大回りして藤市経由でトンネルを通り、小山を登ることになる。藤湖を見下ろす高級住宅街、十燈荘は、土曜の昼だが活気はない。既に外部への交通規制が敷かれているとはいえ、不気味に静まり返っている。ここで殺人事件があったことを、住民達が知っている気配はなかった。その家…
小説 『標本室の男』 【第29回】 均埜 権兵衛 骸骨探しの手掛かりは少しだけ。シラミ潰しに運転手を尋ねたとして…知っていて庇うかも、何か企んで軟禁しているかも知れない 礼を言って後を見ると、現われたのはオンボロの軽トラックだった。後部からボボボと青白い煙を吐き出し、エンジン音は賑やかなのだがちっとも前に進まない。全体が錆びに覆われ、色も白なのか何色なのか見当もつかない。乗っていたのは老婆にお似合いの老人だった。男が老けているのか、老婆が歳の割に若いのかちょっと判別がつかなかった。「さあ、乗んなせえ」そう言って左のドアを開けてくれたものの、シートはバネが跳び出て…