俳句・短歌 四季 2021.03.04 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第11回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 湖(みずうみ)の水面(みなも)沈静我が心 そう有れかしとそっと見つめる 娘達上着(うわぎ)を脱いで美しく 天女(てんによ)の様に夕焼けに舞う 図書館の展望台を霧包み 愛の行き交う無錫眺望(ちようぼう)
小説 『眠れる森の復讐鬼』 【第7回】 春山 大樹 顔面まで焼けただれ、身元不明。いじめ被害の女子高生は、なぜあの公園で灯油を被ったのだろうか。 二〇一四年三月二十三日、月曜日の昼休み、急に教室が騒がしくなった。スマホに衝撃的なニュースが流れてきたからだ。その日の未明午前三時頃、山本公園で火災発生の通報があり消防隊が駆け付けたところ、人が炎に包まれて倒れているのを発見。病院に救急搬送されたが全身に火傷を負っており、意識不明の重体。近くに灯油を入れていたポリタンクが落ちており、焼身自殺を図ったものと思われる。顔面を含め全身が焼けただれている…
小説 『峰坂物語』 【第5回】 橋井 尚 もっと日本で過ごしたい気持ちが募っていく。それと同時に、脳裏に思い浮かぶのは日本の豊かな自然の情景だった。 【前回の記事を読む】【先行配信】自分のもうひとつの国旗を確かめてみたい、日本に行ってみたい。――日系四世のナオミは、日本で夏休みを過ごすことになり…迎え火の日、慣れない手つきで魂迎えの提灯を代わり番こに持つ子どもたちに、國雄じいちゃんは、「精霊祭りン間は、バッタやトンボば捕りなすな。喧嘩ばしたり泣いたり駄々ばこねてはいけん」と言った。盆花採りの日、佳枝ばあちゃんは、花を一抱え摘んで帰ってきたナオ…