こころの在りか
こころの在りかがどこにあるか、ご存知ですか?
胸? 頭?
いやいやそういう話ではありません。
不安な人に、ちょっと訊ねてみます。
─いつも、どんなことを考えていますか?
「えっ……もし具合が悪くなったらどうしよう」とか、
「何か言われたらどうしよう」とか。
─う〜ん。つまり来るかどうかわからない未来の話ですね。
「まあ、そうです」
─他には、どうです?
「あの人に、あんなこと言っちゃったけど、気を悪くしなかったかな」とか、
「あの時、あんなことがなければこんなことにならなかったのに」とか。
─う〜〜ん。もう終わってしまった過去の話ですね。
「まあ、そう言えば、そうです」
まあ、私がこんなに唸ったかどうかは別として、不安な人だけでなく、
多くの人がこころを未来や過去に置いてしまい、今に生きていません。
「心ここにあらず」なのです。
皆さんは、過去現在未来を1本の線として捉えているかもしれませんが、
実は違います。
過去は記憶の中にしかなく、未来は想像の中にしかありません。
いつも私たちにあるのは「今」だけです。
私たちがすることは、過去がどうであろうと、「今、どうするか」であり、
未来がどうなるかは、「今、どうするか」だけが私たちにできる全てなのです。
ですので、「今」の使い方を私なりに紹介したいと思います。
まず、人生の力点である「今」に何を込めるかで、過去が変えられます。
例えば、「今、生きて、呼吸をしていること」
このことにあなたが、はち切れんばかりの「幸福」を込めたとしましょう。
そうすると、「過去」はあなたにとってどうでもいいことか、もしくは何があったと
してもこれで良かったと許せること、さらに言えば感謝することができます。
もしあなたが、このことに死ぬほどの「不幸」を込めたとします。
すると、まったく同じ過去が、あなたにとって決して忘れられない失敗であり、
許しがたい歴史になります。
「幸福」を込めるか、「不幸」を込めるかは、実は状況とは一切関わりません。
ただ、あなたが「今」をどう捉えるかだけが問題であり、
どうするかだけが未来を決めるのです。
では、人生の力点である「今」をどうするか?
可能だと思う、最も幸福な未来を思い描きます。
今、そのためにできることを精一杯やります。
それだけです。
それだけなんです。
ゆめゆめ今を無駄になさいませんよう。