我慢

「私はずっとガマンしてきました

「ガマンするしかないと思ってます」

こんな風に告白される時があります。

「ガマン」って何でしょう?

見上げた根性?

悲壮な決意?

もしそれが、自ら最善と思って決めた曇りない姿勢なら、

それを「忍耐」と呼びます。

そうでないなら、それは受け入れることもできない、拒絶することもできない、

行き場のない態度です。

「負の貯金」と私は呼んでいます。

感情にはエネルギーがあり、我慢して貯めるのは、

「怒り」「不満」「妬み」「恨み」など、当然負のエネルギーです。

こうしたエネルギーは、発散するなり昇華するなりして解決しない限り、

実はなくなっていくことはありません。ただひたすら溜まっていくだけです。

これは相当にきついことなので、よく皆さんが「愚痴」とか「悪口」といった形で

他の人に放出し、何とか臨界値を越えないよう、負のエネルギー量を

下げているわけです。

「堪忍袋の緒が切れる」というのは、まさしく臨界点に達し爆発したわけで、

大概はそれ自体は些細ささいなきっかけであり、「いきなりキレて」しまいます。

キレられた相手は、なぜ今まで当たり前だったことで相手がいきなり切れるの

か、相手が何を苦しんでいたのか、気づいてさえいないことの方が多いのです。

その結果、どうしようもない禍根かこんを残してしまうことがあります。

では仮に、「ガマン」し続けたとしましょう。

すると負のエネルギーは変成します。

相手に対する方向性を失い、自らを攻撃し始めます。ある日突然、胸が苦しく

なったり、めまいが出たりと、いわゆる自律神経が失調し始め、心臓病や呼吸

器・消化器、ありとあらゆる病気の下地となります。

そんな感情を決して溜め込んではいけないのです。

敢えて申し上げます。

「ガマン」は美徳ではなく、怠惰です。

解決しなければいけない問題を棚上げにしているだけです。

感情の糸のもつれは、もはや放置されている玉のようなものです。

放っておくとどんどん大きくなり、そのうちどこかの糸が切れ、

自分も相手もひどく傷つけます。