永遠(トワ)のやくそく
ある日、だれかが巣をのぞきこんできました。
「この子ね? ゴミおきばに、すてられていたのは」
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赤いかみの毛の、知らないお姉さんが立っています。
「おたくのしせつで、しっかりしつけてくれ。きっと、いいかいぬしが見つかるだろうから」
青いふくのおじさんが、お姉さんにあたまをさげました。
ぼくは、小さなはこに入れられて、どこかへはこばれていきました。
『ぼくも、死ぬの? きえちゃうの?』
ク~ン、ク~ン…。
やがてぼくは、山の中の大きな巣のまえで、はこから出されました。
そこでお姉さんが、なにやらほえました。
「今日から、ここがおまえの家よ」
すると、あっちこっちから、犬のなき声が聞こえてきました。
『おい、見ろよ! 知らない犬が来たぜ』
ワンワン、ワンワン…。
はなのぺちゃんこな犬が、はげしくほえてきました。
『どれどれ、うまそうなちびすけだな』
ウォンウォン、ウォンウォン…。
毛のみじかい黒い犬が、太い声でなきました。
ほかにも、白や黒、茶色やまだらの犬たちが、ぼくにむかってほえています。
そこは、たくさんの犬たちがいる、大きな巣でした。
『ほら! やっぱりぼく、食べられちゃうんだ!』
ぼくはブルブルふるえて、こしがぬけそうになりました。