俳句・短歌 四季 2021.02.18 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第9回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 青柴に黄色の野花美しく 可憐に咲いて涙一粒 暖かな春の日和に親と子に 眼差しが行く猫の戯れ 吹く風の清々しさと爽やかさ 初夏香り出す江南の春
小説 『眠れる森の復讐鬼』 【第7回】 春山 大樹 顔面まで焼けただれ、身元不明。いじめ被害の女子高生は、なぜあの公園で灯油を被ったのだろうか。 二〇一四年三月二十三日、月曜日の昼休み、急に教室が騒がしくなった。スマホに衝撃的なニュースが流れてきたからだ。その日の未明午前三時頃、山本公園で火災発生の通報があり消防隊が駆け付けたところ、人が炎に包まれて倒れているのを発見。病院に救急搬送されたが全身に火傷を負っており、意識不明の重体。近くに灯油を入れていたポリタンクが落ちており、焼身自殺を図ったものと思われる。顔面を含め全身が焼けただれている…
小説 『地上に輝く星たち』 【第4回】 カスミ シズカ 「――え、何、俺が悪いの?」あいつと喧嘩している自分と仲良くするのはマズイというオーラが出まくっていて… 【前回の記事を読む】学校では、陽気な馬鹿キャラにでもなんでもなれるのに、塾ではそうはなれない。それはキャラじゃなくてリアルだからだ。晃の気持ちは少しずつ不安定で卑屈になっていくようだった。塾のテストはしょっちゅうある。悟でさえAから特進へ上がったり下がったりしているのに、晃はまったくAへすら上がれる気配もない。成果が出せないじれったさと、歯がゆい日々。そんな中で空気が変わったのは、年が明けて、中…