俳句・短歌 四季 2021.02.11 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第8回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 雨粒の滴(したた)り受ける春の宵 ポツリ濡れてもまた気持ち良い 晴れやかな日曜の朝深呼吸 陽光浴びて草木息づく 鴇色(ときいろ)に此の上も無く麗しく 空が照り舞う春の夕暮れ
小説 『13.Feb チョコレーション』 【第5回】 齊藤 俊彦 トイレから出てきた彼に続いて出てきた彼女。私は二人が目配せしたほんの一瞬を見逃さなかった。彼にしてはトイレが長かったような… 【前回の記事を読む】大きな瞳と艶やかな長い黒髪にやや豊満なボディ。自分にはないものを明らかに感じてしまい…智子はピザを注視した。チーズとメニューにあるがナチュラルチーズでないのは明らかで、原材料は乳製品ではないと思った。智子はソーセージを口にしたが、子供の時に食べていたものとは味や食感が違うと気づいた。粗挽きとメニューにあるのに肉質は均一で獣脂感は全くない。本物の豚肉ではないのだろう。みんなは着…
小説 『29歳、右折の週』 【第19回】 言田 みさこ 32歳独身男性。きっと憧れの少女像を自分で勝手に作り上げて、彼女の本当の中身はまだ全然わかっていないんだ… 【前回の記事を読む】「〝あんたが要らないならこっちがもらうわ〟談判ね」否定したものの、少女に見向きもされない彼に心が舞い上がるのを感じていたその後、少女は自分で手紙を書いて越前に出したようだ。なんと書いたのか知らないが(あさみは尋ねなかった)、例会場で越前と少しずつ話をするようになった。それからだんだん、差し出された手に応えてパートナーとして進んで立ち上がったり、一緒に楽しそうに帰ったりし始めた…