俳句・短歌 四季 2021.02.11 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第8回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 雨粒の滴(したた)り受ける春の宵 ポツリ濡れてもまた気持ち良い 晴れやかな日曜の朝深呼吸 陽光浴びて草木息づく 鴇色(ときいろ)に此の上も無く麗しく 空が照り舞う春の夕暮れ
小説 『再愛なる聖槍[ミステリーの日ピックアップ]』 【新連載】 由野 寿和 クリスマスイヴ、5年前に別れた妻子と遊園地。娘にプレゼントを用意したが、冷め切った元妻から業務連絡のような電話が来て… かつてイエス・キリストは反逆者とされ、ゴルゴダの丘で磔はりつけにされた。その話には続きがある。公開処刑の直後、一人の処刑人が十字架にかけられた男が死んだか確かめるため、自らの持っていた槍で罪人の脇腹を刺した。その際イエス・キリストの血液が目に入り、処刑人の視力は回復したのだという。その槍は『聖(せい)槍(そう)』と呼ばれ、神の血に触れた聖(せい)遺物(いぶつ)として大きく讃えられた。奇跡の逸話(…
小説 『乱世、一炊の夢』 【第11回】 安藤 恒久郎 【戦国時代】家臣に無血開城を拒否された佐竹義宣…放っては置けない。企てた策略に、父は「これは偽書ではないのか?」と… 能化丸の岩城家入りについても恙(つつが)なく九月二十八日に出立の日を迎えた。八歳の能化丸改め貞隆ほか付け人らの一行は太田城から磐城大舘城に向かった。補佐役は根本里行、岡本好雪斎と岩城家からは佐藤大隅守が同行した。義宣は会津黒川城の苦い経験から岩城家家臣と摩擦を起こさず協調するよう指示を出した。さらに貞隆後見付き家老としてしばらくの間、北義憲に政務を見させることにし、近くの植田城には梶原美濃守政景…