俳句・短歌 四季 2021.02.04 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第7回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 夏咲きの木立に新葉(しんば)萌え出てる 窓辺を飾る準備見る哉 陽春に寒気が入り霧懸かり 宵に金星仄(ほの)かに光る 躑躅(つつじ)咲く木の傍らをひらひらと 紋白蝶の舞飛ぶを見る
小説 『再愛なる聖槍[ミステリーの日ピックアップ]』 【新連載】 由野 寿和 クリスマスイヴ、5年前に別れた妻子と遊園地。娘にプレゼントを用意したが、冷め切った元妻から業務連絡のような電話が来て… かつてイエス・キリストは反逆者とされ、ゴルゴダの丘で磔はりつけにされた。その話には続きがある。公開処刑の直後、一人の処刑人が十字架にかけられた男が死んだか確かめるため、自らの持っていた槍で罪人の脇腹を刺した。その際イエス・キリストの血液が目に入り、処刑人の視力は回復したのだという。その槍は『聖(せい)槍(そう)』と呼ばれ、神の血に触れた聖(せい)遺物(いぶつ)として大きく讃えられた。奇跡の逸話(…
小説 『高校生SM 』 【第3回】 大西 猛 物心ついた頃から、そういう嗜好はあった。周りから孤立した、誰の目にもとまらないような男の子に心を惹かれた。 その日、私は深さ三十センチ横幅二十センチはある大きな穴を掘った。このまま掘り続けたら砂場の砂が尽きてしまうのではというほど大量の砂の山が隣にできた。ひろと君は私以上に大きな穴を掘った。自分がそのまま入ってもまだ余裕があるほどの大きさだった。私がその穴を見て、「すごいね」と言うと、ひろと君は口元を少しだけ上げた。それはあまりに小さな変化だったが、笑ったことに間違いはなかった。私はそのとき少しだけ、…