俳句・短歌 四季 2021.01.28 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第6回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 夕霞 恋慕に萌えて噎(むせ)び泣き 遥か遠くに恵山望む 薄紅の躑躅(つつじ)の花も咲き出して 命の力吹き出すを見る 温やかな水辺静かに緑生え 枯れ葦の葉も緑始まる
小説 『13.Feb チョコレーション』 【第5回】 齊藤 俊彦 トイレから出てきた彼に続いて出てきた彼女。私は二人が目配せしたほんの一瞬を見逃さなかった。彼にしてはトイレが長かったような… 【前回の記事を読む】大きな瞳と艶やかな長い黒髪にやや豊満なボディ。自分にはないものを明らかに感じてしまい…智子はピザを注視した。チーズとメニューにあるがナチュラルチーズでないのは明らかで、原材料は乳製品ではないと思った。智子はソーセージを口にしたが、子供の時に食べていたものとは味や食感が違うと気づいた。粗挽きとメニューにあるのに肉質は均一で獣脂感は全くない。本物の豚肉ではないのだろう。みんなは着…
小説 『なでしこの記憶』 【第21回】 坪井 聖 芋饅頭をかじっていると、携帯電話が振動した。『やっほ! 今週の土曜空いてる? 空いてるよね…拒否権はありません!』 【前回の記事を読む】先生の前で態度が変わる彼女。その違和感に、理由を聞いてみると急に小刻みに震え始め…「防衛本能…?」芋饅頭をかじっていると、机上の携帯電話が振動した。『やっほ! 今週の土曜空いてる? 空いてるよね。行きたい所あるから付き合って! 拒否権はありません!』あかりのメッセージは、いつも携帯から言葉が飛び出してきそうだ。了解!のはやとスタンプを送信して、携帯を机上に戻した。あかりよ、メ…