トゲトゲの話
まん丸の可愛らしい赤ちゃんが生まれました。ピンクで柔らかで愛そのもの。
赤ちゃんは、まだ一人では生きられないから大声で泣きます。
「誰か気づいて抱っこしてくれる? 誰かが見てるけど通り過ぎて行ってしまったよ」
ピンクの赤ちゃんは、もっと大声で泣きました。
「もう。うるさい子ねぇ。ハァ、本当はブルーの赤ちゃんが良かった……」
面倒くさそうに抱っこされたピンクの赤ちゃん。その可愛らしい柔らかな体から一本の鋭いトゲが出ました。
自分の柔らかな体から鋭いトゲが出たので、びっくりして居心地が悪くて、すぐに泣いたり怒ったりするようになります。
「どうして、ずっとぐずってばかりなの!?」
とりあえず泣き止むようにとミルクだけを与えられ、お腹いっぱいになって眠くなるピンクの赤ちゃん。でも眠ってしまう瞬間に思うのです。
「ねぇ、待って。抱っこして横に居てくれたら、お利口にできるよ。ねぇ、待って……」
ムニャムニャ……ピンクの赤ちゃんの体から、また鋭いトゲが出ました。