キラキラの話
満月の夜、小さな女の子が立ちすくんでいます。
「どうしたの?」満月が聞きました。
「いつも怒(おこ)られてばっかり…」
「私は、上手にやってるあなたも、見たことがありますよ」
「ほんと? でも…いつも、こう…」
そんな女の子に、満月が微笑(ほほえ)んで言います。
「先に進めない時は、休んでいいのですよ。泣いていいのですよ。しばらく休んだら、次に立ち上がる力が湧いてくるわ。大丈夫!」
キラキラと光る満月にそう言われると、女の子は本当に「大丈夫!」と思えてきました。
真夏の空の下、ちょっとだけ背が伸びた女の子は走り出します。
女の子は綺麗(きれい)なものが大好きで、キラキラしたものを見つけると、女の子の瞳もキラキラします。その瞳と夏の日射しのキラキラは溶(と)け合い、そこには幸せが光っていました。
そんなある日、女の子は海で、キラキラと光るガラスのカケラを見つけます。夏の光を反射して、それはとても綺麗でした。そのガラスのカケラを、女の子は拾って大切にすることにします。
家に帰ると、女の子はカケラを部屋の特別な箱に入れました。