発達障がいは治療できる 診断、対処法、正しい治療を受けるために
“「発達障がい」は治療ができない難病ではありません。具体的な向き合い方、どうすれば症状は良くなるのかといった筋道はあります。早期発見・早期介入が求められるのは、治療が早ければ早いほど症状に改善がみられるからです。”医療現場の実情、最新の診断・治療法を専門の小児科医が解説していきます。
視覚的認知能力が高く、絵で見せるとわかることが多い
レストランで待たなくてもコンビニで弁当は買えますし、伝えたいことは手紙でなく携帯で今すぐ電話やメールができる時代です。今や新幹線からリニアモーターカーへと進化をとげようとするなど、速さが求められ、時間をかけて待つことが悪いことと見なされている風潮すらあるように感じます。こういう時代だからこそ、今の子どもたちには万年筆で手紙を書くということも伝えていかなければならないのではないでしょうか。
【人気記事】急増する思春期・成人期ADHD…10項目の簡易診断チェック
しかし、「待つ」「我慢する」という訓練が幼少期からなされていないことは、大きな問題なのです。
人間の生活の中では、必ずしも速いことが良いというわけではありません。順番・行列・車の渋滞など、待つことが生活の中で求められています。「待つ」「我慢する」ことが鍛えられないうちに大人になると、すぐに会社の上司に逆らってしまったり、自分のペースでしか仕事ができなかったりする人間になってしまう危険性が高まってしまいます。
ちなみに、ミュージック・ケアでは、「待つことを育(はぐく)む」というのも大きな目的の一つです。マナーを教える時には、絵を使うなど、視覚に訴えることが効果的です。自閉スペクトラム症のお子さんは視覚的認知能力が高い場合が多く、絵で見せるとわかることが多いからです。