発達障がいは治療できる 診断、対処法、正しい治療を受けるために
“「発達障がい」は治療ができない難病ではありません。具体的な向き合い方、どうすれば症状は良くなるのかといった筋道はあります。早期発見・早期介入が求められるのは、治療が早ければ早いほど症状に改善がみられるからです。”医療現場の実情、最新の診断・治療法を専門の小児科医が解説していきます。
お礼や挨拶が言えるようになることの重要性
親御さんがそばにいなくても一人で生きていけるようになる(自立&就職する)こと。これが、発達障がいの治療の最終的な目標になります。そのためには社会で生きていくための最低限のマナーを習得しておく必要があります。
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発達障がいを抱えたお子さんは、「ありがとう」「ごめんなさい」と言うことや「こんにちは」「さようなら」といった挨拶が苦手なことがあります。まずは基本的なお礼や挨拶などが言えるように、外来では日頃からしつこくお子さんにも親御さんにも伝えています。
診察が終わり、チャットルームから出る際に、半数以上の子は後ろを向いたまま「さようなら」と言って去ろうとします。そういう時、私はすかさず「こっちを向いて」と促(うなが)し、やり直しさせます。
行列マナーや携帯マナーなどの大切さが叫ばれているように、日本には暗黙のマナーを大切にする文化があります。誰もが守っていることをきちんと守れるようになるために繰り返し教えなければならないことは多くあります。それを守ることは発達障がいの症状の進行から身を守ることにもつながります。