俳句・短歌 短歌 自由律 2021.02.06 句集「愛のままで咲く」より三句 愛のままで咲く 【第28回】 馬場 美那子 “こぼれる愛 からめた指の すき間から” 十七音に込められた、愛と感謝の川柳句集 母へ、恋しい君へ、愛犬へ、かけがえのない日常へ。やさしく、時に激しい愛の詩。 5章からなる川柳句集を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 愛犬(フクちゃん)はもう犬じゃない子供です たくさんたくさん抱っこをすればよかったな 犬(フク)と暮らした十七年と三ヶ月
小説 『「本当の自分」殺人事件[注目連載ピックアップ]』 【第9回】 水木 三甫 硬直する体に構わず、若い桃のような頬に唇を当てる。首筋からさらに下へ、新鮮な匂い。しがみついていた力は抜け… 【前回の記事を読む】「好きな店でいいよ」と絶対に言わない。行く店は決めてくれるし、選ぶ店のセンスもいい。浮き彫りになる、夫の物足りなさ。高校を卒業すると、希代美はすぐに故郷を捨てた。都内の小さな問屋にどうにか事務職を得た。希代美は一生懸命働いた。会社とアパートを行き来するだけの生活。とにかくお金を貯めたかった。一人で生きていくためにはお金を貯めなければいけないという強迫観念があった。預金通帳の残…
小説 『「その時、初雪が降った。」』 【第8回】 本城沙衣 僕は自動販売機で温かい紅茶を買って渡した。それを受け取った彼女は、昼休み以降、初めて僕に向かって笑顔を見せてくれた 【前回の記事を読む】「今日、一緒に帰れる?」同級生達に冷やかされながら、僕は彼女と一緒に帰った靴に履き替え、校舎を出た。校門までは、ふたり、少し距離をおいて歩いていた。暗黙の了解とでもいうのか……そんなところだ。校門を出ると、彼女が話し掛けてきた。「この辺に、ゆっくり話できるところない?」「ゆっくり?」「うん……ちょっと話したいことがあって……」うつむき加減にそう言った彼女は、少し淋し気に映った…