英国国立ウェールズ大学経営大学院にて医療経営学修士号を取得した臨床医が、現代の医療経営の諸問題を追及します。
代表的な戦略論
2. ジェイ・B・バーニーの内部資源に基づく戦略
ユタ州立大学のジェイ・B・バーニーは、企業の競争優位に重要なのは、製品・サービスのポジショニングではなく、企業内部すなわち企業の持つ経営資源(リソース)にあると主張し、これを内部資源に基づく戦略(Resource Based View: RBV)と呼んでいます[14]。
バーニーは外部環境よりも内部環境を重視しました。経営資源(リソース)とは人、モノ、カネ、情報を指し、それらの強みを研ぎ澄ますことで、安定した高いパフォーマンスを維持できるという考え方です。
内部の強みを分析するフレームワークとしてVRIO分析(図表)があります[14]。
経済価値があり(Value)、希少性があり(Rarity)、模倣困難性(Inimitability)、組織力がある(Organization)の4項目です。このVRIOの要件を満たす経営資源が企業に持続的優位性をもたらすと考えています。経済的価値に関する問いとは、その企業の保有する経営資源やケイパビリティは、その企業が外部環境における脅威や機会に適応することを可能にするか。
希少性に関する問いとは、その経営資源は、ごく少数の競合企業によってコントロールされているために入手が困難なのか、あるいは入手が容易なのか。模倣困難性に関する問いとは、必要な経営資源を保有していない企業が新規に参入しようとする場合、模倣コストはどの程度か。そして組織力に関する問いは、企業が保有する、価値があり希少で模倣コストの大きい経営資源を活用するために、組織的な方針や手続きがどの程度整っているかです。