春の出会い
邪気:90 代謝:80 正気:80
授業が始まって二週間。一、二回生の間のメインは『教養』ということでさまざまな分野の授業を受けることになっていた。一応希望する科目を選択できるけど、ほぼ学部学科ごとに固まってしまっている。なので毎日顔を合わせるのは同じメンツ。よほど高校の選択授業の方がシャッフルされていた。
もちろん選択できる授業の数は高校の比ではなく多い。もっとみんな好奇の目を広げてみてはと思ってはみたが、当の本人がベタベタの農学部資源生物科カリキュラムなので大きなことは言えない。
(いやいやほら最初はみんなと同じ方が、コミュニケーションをとるのにもいいやろう)とあまりはみ出したくない自分を納得させる。
どの集団でも、同じメンバーである程度過ごすといくつかの小さな集団ができるものだ。高校時代、僕は大きなグループに属さず、少し離れた小さいグループに属しているような存在だった。ともすると一人だったこともあったかもしれない。それはおそらく、自分から話しかけることや、人に干渉されることを、面倒くさいと思っていたからだ。