中西結合医療
西洋医学・中医学ともに利点と欠点があります。したがって、両方をうまく使うことによって、お互いの欠点を補いながら治療していくことも可能になります。
アトピー性皮膚炎の例で言えば、ひどい皮疹が出てかゆみもある場合は、外用にステロイド剤や免疫抑制剤の軟膏の塗布を、内服に必要な西洋医学の薬と漢方薬を併用します。
内と外の両面から治療することで、より短時間で皮膚の症状を軽減させることができます。皮疹やかゆみが減ったら、外用はステロイド剤を中止し、軽い消炎剤または保湿剤を中心にして内側からの治療を重点的に行います。
そして皮膚がきれいになったら、体質的に弱いところを強化する薬に変えていきます。
生活上の注意としても、病院での血液検査などで判明した強くかゆみが出る要因は極力排除し、かゆみに良いとされる現代の知見から得られた養生を加味して、中医学の養生法に組み込んでいくことで、より良い生活が見えてくると考えられます。
さらに、かゆみで睡眠が十分に取れない場合、肉体的・精神的に疲労が蓄積していくことになるので睡眠薬を、また精神不安を改善するための薬物、そして無意識に引っ掻くので夜間だけでもかゆみを減少させる薬物、などうまく活用することができれば、患者の症状の改善とともに生活の質にも大きく作用することになるでしょう。
中医学は伝承・伝統医学の中でも完成されたものと言われています。さらに日本では一部独自の発展を遂げた日本漢方として、切っても切り離せないほどにしっかりと根をおろしています。
その土壌にあって西洋医学と漢方は相互に補完し合えるものだと思えますので、これからその利用が広がっていくことを期待してやみません。
コラム:現代医学と中医学の形
現代医学のおおまかな形は、物事を研究して細かく追究していく「科学」を土台にしています。
その上で、人がどういう仕組みで動いているかを研究した「生理学」があり、その仕組みのどこが壊れて病気になるか示した「病理学」、そしてどこが壊れたのかを知る手段の「診断学」、最後に壊れたところを修復するための薬や手術などの「治療学」、となっています。
中医学にも同じような形があります。
まず土台となるのは「科学」ではなく「自然哲学」です。