最近の状況―特にアトピー性皮膚炎を中心に―
近年研究が進み、かゆみはさまざまな要因で生じ、その神経伝達ルートもいくつかあるなどたくさんの知見が報告されています。
また病院での治療は、アトピー性皮膚炎の治療ガイドラインの充実もあって、医療機関ごとの差異も減っているようです。さらに効果的な治療方法や薬剤も増えてきており、患者さんにとっては喜ばしいことです。
ただし、たくさんの患者さんが来て忙しい皮膚科や内科では、どうしても短時間の診察・説明になってしまうことが多いようです。
そういった状況でガイドラインに記載されているスキンケアを含めた生活上の注意をきちんと説明しきれないのか、はたまた患者さんが忙しいために薬以外の部分がおろそかになっているのか、薬だけをただ漫然と使う治療になってしまうことも店頭でよく耳にします。
アトピー性皮膚炎の治療満足度を調査した結果では、軽症患者さんでも45%、すべての方を合わせると30%しか満足できていない実態が明らかになっています。
この改善のためには患者さんと医師や家族とのコミュニケーションが重要だとされています。一方、世間一般にアトピー性皮膚炎は認知されてきています。
その症状はもちろん、生活上の注意点、食事から運動、ストレスなど、何が良くて何が悪いのかといった情報が知られるようになりました。本屋さんではアトピー性皮膚炎に関するさまざまな本が並び、インターネットでも情報が氾濫しています。
ただこれらに関しては人によって理解されている情報に偏りがあって一方的になりすぎていたり、勘違いされていたりする場合があります。
この状況は、情報が膨大であることや、いまだに極端な治療法や特殊な治療法を啓蒙する本や情報があること、一般的に正しいと言われている情報でも、ごく一部分を強調して認識してしまうためではないかと思われます。
2.現代医学と中医学
強いかゆみを感じたり、長期間かゆみが続いたり、あるいは何度もかゆみを繰り返す、といった症状が起こった場合、まず考えるのは病院の受診でしょう。
病院で、そのかゆみがどういった病気で引き起こされているのかをはっきりさせることは大切です。糖尿病や肝臓の病気、時にはガンでもかゆみが起こる場合があります。
そういった大きな病気がある場合はその対応が重要になります。また比較的身近なかゆみを引き起こす病気にアトピー性皮膚炎があります。
この病気では、いまだステロイド外用薬を嫌う方が約6割もいるとされており、一般的でない方法を取る方も少なくありません。
確かに、ステロイドは上手に使っていかないとダラダラと症状を長引かせ、症状が改善しないままずっと塗り続けるような状況になる場合もあります。