家族と共に伊豆一周ドライブをしたところ…

私は陸に上がってかなり経った頃、あの恐ろしくも美しかった爪木崎を陸から見てみたいと言う欲求が起きて家族と共に伊豆一周ドライブをした事がある。

爪木崎を訪れ、初めて陸から見たその特異な景観に驚いた。東伊豆の海岸はなだらかに湾曲しているが、そのほぼ突端に位置しながら、まるで海岸から右手のげんこつを海に突き出したかのように出っ張っているのが爪木崎なのだ。

 

その人指し指の先の岩礁の上に灯台が築かれた事から岬全体を爪木崎と呼んでいるが実は指の先端は荒波が洗い、うねりが上下する岩礁となっていて間のヒダは深く、奥には須崎港など小さな漁港が陸にへばりついている。そして右手首は驚くほど細く、小高い丘を挟んで右側には下田湾が大きく口を開け、左側には外浦など白い砂浜が広がる美しくも海の荒々しさを秘めた不思議な岬であった。

私は自然が創り出す造形美に何故か秘めた神の啓示を感じて止まない。海流は地球が誕生して海ができた頃から生まれ、人類が誕生した後には人々はなぜそうしたのか知らぬがその海の道を通って移動する事が世界中で起きた。

トール・ヘイエルダールの『コンティキ号漂流記』や『葦舟ラー号航海記』にも書かれているように多くの人々がその事を航海記・漂流記に記している。海流は人類の歴史を創り、人類がそれぞれの地域に定住するようになってからは物流を促し、そして近年に至っては食と地球の気候変動に影響を及ぼす身近な存在になっている。海流は名も知れぬ遠き島より流れ着いたヤシの実にも歌われているように遥か遠くの未知の国からロマンを運んでくる海の道なのであった。