俳句・短歌 四季 2021.01.07 歌集「漣の夢」より3首【第3回】 歌集 漣の夢 【第3回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 室外の木立を埋めて薄紅の 桜の様な花が満開 見上げると金星一つ存在の 驚き伝え凛と輝く 朝の陽の薄雲透す光源に 超越された天見る思い
小説 『13.Feb チョコレーション』 【第5回】 齊藤 俊彦 トイレから出てきた彼に続いて出てきた彼女。私は二人が目配せしたほんの一瞬を見逃さなかった。彼にしてはトイレが長かったような… 【前回の記事を読む】大きな瞳と艶やかな長い黒髪にやや豊満なボディ。自分にはないものを明らかに感じてしまい…智子はピザを注視した。チーズとメニューにあるがナチュラルチーズでないのは明らかで、原材料は乳製品ではないと思った。智子はソーセージを口にしたが、子供の時に食べていたものとは味や食感が違うと気づいた。粗挽きとメニューにあるのに肉質は均一で獣脂感は全くない。本物の豚肉ではないのだろう。みんなは着…
小説 『29歳、右折の週』 【第18回】 言田 みさこ 「〝あんたが要らないならこっちがもらうわ〟談判ね」否定したものの、少女に見向きもされない彼に心が舞い上がるのを感じていた 【前回の記事を読む】少女が書いた手紙を破り捨て、代わりに私が書き直した手紙を投函した。彼を踏みにじる言葉を消して…このころの苦しみを、理緒子に幾度となく聞いてもらった。理緒子は同情などしなかった。「書き直すなんて、大まぬけの大偽善者よ」しかし、救いがあった。少女は18にもなるというのに、常識はずれに子供っぽく、喜んだり怖がったりして悩みながら、なかなか越前の手に乗らないことだった。成熟した女に対…