英国国立ウェールズ大学経営大学院にて医療経営学修士号を取得した臨床医が、現代の医療経営の諸問題を追及します。

「医療経営戦略」~トレードオフ理論(trade off theory)

一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという二律背反の状態・関係をトレードオフと言います。典型的な例としては、特急列車の停車駅の数と所要時間の関係があります。

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停車駅が多いと多くの乗客にとっては便利ですが、所要時間が長くなるため、利便性が低下します。このようなトレードオフの中で停車駅の数を決定する必要があります。

他にも地下に埋める上水道の水道管の適正な太さの問題などが例として挙げられます。太くすると高流量の水を流せますが高コストです。一方、細くすると、低流量ですが、低コストですみます。しかし将来人口が増えた際に、再度水道管をもう1本造る必要性が生じるかもしれません。

動物が卵を産む際、限られた容量(おなかの大きさ)の範囲で、大きな卵を少数生むか、小さな卵を多数生むか、どちらがより多くの子孫を残すことができるかという視点もこれに当たります。

病気の診断に用いる検査値のカットオフ値も、低く設定すれば感度は高くなりますが、特異度は低下しますし、逆に高く設定すれば感度は低下しますが、特異度は上昇します。