関節リウマチでは関節が、全身性エリテマトーデスでは腎臓や皮膚が、強皮症では皮膚や肺が、多発性筋炎では筋肉が標的となり、自己の免疫の攻撃にさらされてしまいます。
「相手が違うよ」と言ってやりたくなりますが、いったん攻撃が始まるとなかなか止めてくれません。攻撃の矛先を変えられれば一番良いのですが、現在の技術ではそれができないのです。
したがって、関節リウマチや膠原病では、免疫自体の力を弱める免疫抑制が治療になります。関節リウマチに使われるメトトレキサートや生物学的製剤、膠原病に使われる副腎皮質ステロイド薬も広い意味では免疫抑制薬です。
これらの薬剤を使うと自分の体を攻撃している免疫の作用を弱めることができ、病気は沈静化します。最近では、特定のタンパク質の作用だけを抑える生物学的製剤が使えるようになり、免疫全体の力を下げるのではなく、悪い部分だけを抑えるような治療が可能になってきました。
しかし、皆さんの想像の通り、免疫の力が弱まると外敵に対しての防御力も弱まります。したがって、関節リウマチや膠原病で治療を受けている患者さんは感染症に十分な注意が必要になります。人ごみを避ける、マスク着用、うがい、手洗いなどの衛生上の注意が基本です。
もちろんインフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンなどの接種を強くお勧めします。さらに、規則正しい生活、バランスのとれた栄養、十分な睡眠など、「健康」的な生活を送ることを心掛けてください。
私は以前から、新年にあたり自分自身の目標を3つ掲げてきました。ところが前年の反省と自戒も込めて考えると、このところ毎年同じ言葉が目標になってしまっています。
「健康」「感謝」「寛容」、いずれもKで始まりますので3Kですが、簡単なようで意識していないとなかなか実践できない3つでもあります。皆様の今年の目標は何でしょうか?